たびごころ

旅と心、ちょっぴりスローライフ。癒し人が語ります。

自由とかって、退職したり誰かを憎んで敵を作らなくても、手に入ることを知った日 ~台湾旅行記(2017年11月)あとがき~

こんにちは。
女子力高めのイケオジ癒し人、恵守真史(えもりまさひと/まぁ)です。

前回までにお届けした、台湾旅行記はいかがでしたでしょうか。
旅人を名乗っていながら2017年に17年ぶりに海外を旅することになったのですが、今回はそんな台湾に旅をするまでのあれこれを、台湾旅行記のあとがきとしてお届けしたいと思います。

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2016年の年末から派遣社員としてIT企業で働いていました。
2017年11月頭は有給を2日使えば5連休になることを知ったのですが、非正規雇用の立場で5連休を取りたいとも言えずにいました。
ですが、社員さんからの「夏休みも取らずにずっと働いてくださっているんですから、有給取って遅めの夏休みを取ったらいかがですか?」のことばにすっかり浮かれ、5連休を取ることにしました。

 

5連休なんていつぶりやろう? てか、どこに行こう!? どっか遠出がしたい! どこ行く? 北海道は4年前に行ったし、熊野古道は? ・・・なんか、気分が乗らん。。長崎の隠れキリシタンの聖地は? ・・・気分が乗らん。。京都は? ・・・いや、、もう行き飽きたし。。
せっかくなので遠出がしたいと思い、うきうきしながらネットでいろいろ調べるのですが、気分はまったく上がりませんでした。
これはなにか制限をしていないか? そう思い、改めて自分に問いかけると、「海外」ということばが出てきました。

 

海外への旅は1999年年末から2000年年始の香港・中国を最後に遠ざかっていました。
給料が安かったこと、有給がなかったこと、かつての旅仲間の「有給かき集めてウズベキスタン行ってきた」ということばに、自分にはそこまでして海外に行きたいという情熱が湧かなかったこと、
なにより、海外に旅ができるほどの給料を得られ、有給制度のある企業に勤められるほどの優秀さは自分にはない、そんな思いから、「俺、海外好きやないんや。俺にはもう海外なんて関係ない」とあきらめてしまっていたのです。

 

はたして、派遣社員で海外なんて行けるんだろうか?
2017年の頭に兵役のために台湾に帰国した友人のことをふと思い出し、航空券の値段を調べました。
「は? 3万円!!?」
海外から遠ざかっている間に、海外はずい分身近になっていました。東京⇔台北の航空券は約28,000円(諸経費込みで総額は約36,000円でした)。
「派遣の給料では海外旅行なんてできません」
そんな言い訳は成り立たない値段でした。

 

台湾を代表する観光地の九份でくつろがれる猫殿。人(下僕)が通ったくらいで動じとったら観光地で猫なんぞやっとれん、と言わんばかりの堂々とした佇まいであらせられました。

 

「台湾に行く!」そう思い、パスポートの取り方を調べ、翌日(月曜)には開店間際の郵便局に駆け込み、戸籍謄本を地元の役場から取り寄せるために郵便為替を手に入れ郵送、住民票の取得、連日フレックスや休みを利用して、パスポートの取得に全力を注いでいました。
パスポートの番号がわからないと航空券を手配できないとはいえ、今思い出すとものすごい勢いというか必死でした笑

必死になった甲斐もあり無事パスポートを取得すると、すぐに航空券を手配、『地球の歩き方』やネットで情報収集、『地球の歩き方』に夢中になりすぎて電車を乗り過ごしたこともありました。
必死にならなくてもパスポートは取得できます

 

そして出発の前日の2017年10月31日、業務終了後に「明日からお休みいただきます。よろしくお願いします」とあいさつし、「お疲れさまでした。ごゆっくり」と職場のメンバーから言われた時、退職時のようなものすごい解放感があったことを覚えています。

思えばどの職場も我慢を重ね、耐えられなくなって退職する、ということをくり返していました。それ以外に、自由とか安心を手にする手段を知らなかったのです。
でもあの時、自分にも海外旅行ができること、退職しなくても自由や解放感は得られること、退職の口実のためにいっしょに働く人たちを憎み、敵にしなくていいことを、笑顔で見送ってくれるメンバーから知りました。

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みなさんにはやってみたいけど、できないと思っていることはありますか?
その「できない」という思いはもしかしたら、思い込みなのかもしれません。
ですが、痛みや傷があるとなかなか思い込みに気がつけなかったりします。
そんな時はぜひ、カウンセリングの利用をおすすめします。思い込みがはずれ、知らなかった自分に出会えるかもしれませんよ。


感想などございましたら、コメント欄またはこちらからお聞かせいただけるとうれしいです。

台湾旅行記の前編はこちら、後編はこちら

台湾旅行記(2017年11月)後編

こんにちは。
女子力高めのイケオジ癒し人、恵守真史(えもりまさひと/まぁ)です。

先日インスタ(ポエマーアカウント)にアップした2017年11月の台湾旅行記・総集編の後編を今回はお届けします。
旅とこころのブログを謳いながら、やっと旅の内容になりました笑

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台湾 2017年11月⑥

  

九份からすぐにそこに見えていた基隆には、バスで1時間ほど揺られて着いた。

潮の香り、カモメの鳴き声、波の音。山国に育ったぼくには、どれもなつかしさより新鮮さを感じる。

なにより、基隆に港町独特の開放感を感じ、わくわくしながら歩きはじめた。

 


台湾 2017年11月⑦

  

17世紀にスペイン人が築いた台湾北部最大の貿易港で、人口37万人の基隆。

スペイン人が築いたというその面影を見つけたくて、町を探して歩いたが、それは見つけられなかった。
よく考えれば四世紀も前の話だ、それもムリはないだろう。

だが、町の至る所で夜市の準備を急ぐ現代の台湾人から、この町の活力を感じることができた。

 

台湾 2017年11月⑧

    

海の幸が多いと言われる基隆の夜市を巡ることなく、ぼくは台北に戻った。
台湾人の友人と再会し、台北で最も有名な夜市、士林市場を散策することになっていたからだ。

胡椒餅、友人おすすめの黒糖ミルク、何を口にしても美味く、士林市場は夏祭りのような活気にあふれている。

そして、終電まで友人と語り一夜が明けた11/3、ぼくは迪化街の散策に出かけた。
知らない間に、雨が降っていたようだ。

 

台湾 2017年11月⑨

 

 

11/3、台北の問屋街で古い街並みを残すと言われる迪化街を訪れた。

古い街並みと言っても、日本や中東のそれとは異なり、近代の歴史ある貴重な建物がいくつも並んでいる。

その迪化街を散策した後、パワースポットと言われる龍山寺に参拝へ出かけ、参拝を終えると近くの食堂に入った。

地元のおばちゃんに親しげに中国語で話しかけられたのだが、現地語で話しかけられるのはこれで何度目だろう?

夜は友人と温泉に行く約束をしていたが、約束まで時間が少しあった。

なんだか疲れてることに気づき、働いている友人には悪いと思いつつ宿に戻り、少し眠りについた。


台湾 2017年11月⑩

 

11/5、飛行機は早朝の羽田空港に到着するも電車は動いておらず、睡魔と戦いながら始発を待って帰宅した。

駅前の窮屈な景観から日の出を待ち切れずあふれて出てきた光の美しさを前に、
ポジティブに振る舞おうとしたが、そうしないといられないほど、耐えがたいさみしさを感じていた。

11/3は友人と温泉に行き、台北の夜景を眺めながらお茶をして、夜市を歩いたが、
11/4はすでに友人に予定があり、ひとり街を散策し、温泉に入って、空港に向かった。

元々ひとり旅の予定だったのだ、そんなことは特別なことでもなんでもない。

だけど、、

温泉で流れていた任賢任Richie Jenの「對面的女孩看過來 Look over here, girl」に、「俺、この歌大好き!」と初めて聞いた1999年の香港の思い出を話したり、

砂糖を入れないで飲むミルクティーを「オカシイヨ!」と言われたり、

夜市で飲んだことのない飲み物を渡され、「うわ、めちゃくちゃ美味い! 何これ?」「ウーン、ナンテ言ウンダロウ? (スマホを見せながら)コレ?」「あ、サトウキビや!」と話したり、

そんな、
なんでもないことを分かち合い、その時間を重ねてきたことが、どれだけあたたかくて、安心できて、心強いものだったのか、

帰国して何日経っても癒えないさみしさに、それを思い知った。

 

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今回はインスタにアップした2017年11月の台湾旅行記の総集編(後編)をお届けしました。
感想などございましたら、コメント欄またはこちらからお聞かせいただけるとうれしいです。

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台湾旅行記(2017年11月)前編

こんにちは。
女子力高めのイケオジ癒し人、恵守真史(えもりまさひと/まぁ)です。
2024年、何か新しいことをはじめようと思い、Instagramをはじめました。
写真が絶望的に下手なのと映え生活からも最も遠いところに暮らしているため、やっても意味がないとためらっていたのですが、ポエマーアカウントとして稼働しております笑

さて、今回のブログは先日そのインスタ(ポエマーアカウント)にアップした2017年11月の台湾旅行記の総集編(前編)をお届けします。
良かったらお付き合いください。

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台湾 2017年11月①

2017年11月1日19時少し前、ようやく台北に着いたぼくは、清代からの歴史を持つ北門を目にすると、あわててシャッターを切った。

桃園国際空港から台北に向かう電車の中では、地元を思い出す田園風景をのんびり眺めていたのだけれど、夕日が台湾をオレンジに染めはじめると、無性に「台北の夕景」を撮りたくなっていた。

地平線の向こうにオレンジを確認していたのに、スマホにはむしろ、台北の夜に輝きはじめた街の明かりが写っていた。

17年ぶりの海外の旅は、こうしてはじまった。

 

台湾 2017年11月②

 

宿に向かって台北の街を歩くと、なんでもない街角がなんだかとても懐かしく思えた。

はじめて海外を旅したのは、1996年3月のマレーシア。
首都クアラ・ルンプルのチャイナタウン、あのにぎわいを思い出したのか、それとも、魂の記憶にふれたのか、それは未だにわからない。

 

台湾 2017年11月③

 

久しぶりの海外にウキウキしながら街を歩いていると、とても空気が清らかなお寺を見つけた。

台北ではいくつかのパワースポットを訪れたけど、こんなに清らかで澄んだ空気を感じたのは、このお寺だけだ。

そして、提灯のような明かりが、よりこの場所を幻想的かつ神秘的に見せてくれた。

 

台湾 2017年11月④

  

宿に着いたぼくは、兵役のため帰国していた台湾人の友人に連絡をする。

明日はなにをするのかと聞かれ、
「雨降らなさそうなら、九份行ってくるよ」
と答えた。

11/2、天気予報で雨が降らなさそうなのを確認し、台北から電車とバスを乗り継ぎ九份に向かった。
11月の九份はずい分暑く、大勢の観光客でにぎわっている。

しかし、いったいこの坂のどこをどう切り取れば魅力的に写るのか、暑さと人の多さでよくわからず、逆光も気にせず、とりあえず記念にシャッターを切るだけだった。

 

台湾 2017年11月⑤

九份の坂を上がりきり地上を見下ろすと、眼下に海と台湾北部最大の貿易港である基隆(じーろん)が見えた。

無性に「基隆、行ってみたい!」という衝動が湧き上がる。

大勢の観光客でにぎわう九份の小道を焦る気持ちを抑えながら一通り見て回ると、あわてて基隆行きのバスに乗り込んだ。

「港町」ということばに、年甲斐もなくロマンを感じたみたいだ。

 

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今回はインスタにアップした2017年11月の台湾旅行記の総集編(前編)をお届けしました。
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2023年の年の瀬に学ぶ

こんにちは。
女子力高めのイケオジ癒し人、恵守真史(えもりまさひと/まぁ)です。
2023年もあと少しとなりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
今日は商店街の銀行とスーパーに買い物に行ったんですが、空は青くて、空気は澄んでいて、商店街もいつもの休日より人が多くて、銀行は混んでいて、この年末独特の空気感にウキウキしていました。

 

スーパーでは「ジェムぶっぱ」のごとく貯めていたポイントを一気に約5,000円分ぶっぱなして参りまして、ものすごくスッキリしました!
感情といい、ウンコといい、ジェムといい、ポイントといい、溜めていたものをぶっぱなすのは本当に気分がいいです!
(ですが、感情とウンコは溜めずに、まめにぶっぱなすことをおススメいたします)

 

また、そのスーパーで仏壇用の千両を買おうとしたんですが、どのコたちも元気がなかったり、実があまりついてなかったりと、どうも購買意欲が湧かず、「父よ、すまん! 今年は花飾らん。あんたの息子やでそんなもんや」と思い、店を出ました。
そして、日光浴がてら「なんか気になる」方に歩いて行ったら花屋があり、そこにはなんと、スーパーよりも安くて元気でたわわに実った千両が売られていたのです!

 

溜めたものは出すと気持ち良い、「なんか気になる」という気分を大事にしてみると導かれる、そんなことを感じた年の瀬でした。
みなさまもどうぞ、良いお年をお過ごしくださいね。

花瓶は仏壇用なので映えませんが、千両の赤い実とギザギザした葉、赤と緑のコントラストにいつも惹かれます


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エジプト料理解説 <メモ書きレベル>

こんにちは。
女子力高めのイケオジ癒し人、恵守真史(えもりまさひと/まぁ)です。
このブログでは、心理、旅、スローライフなどを通して、こころがちょっとほっこりする、そんなお話をお伝えしていきます。
今日は旅のブログらしく、ぼくの大好きな「エジプト料理」についてお話します。

 

1.エジプト料理とは?(個人的な見解)

突然「エジプト料理」って言われても、あまりなじみがないと思いますが、世界三大料理のひとつトルコ料理に近いと思ってください。
ですが、トルコ料理ほどスパイスは効いてなくて、味もトルコ→シリア→ヨルダン→エジプトと南に行くにつれ濃くなっていくことや、鶏で出汁をとること、トマトを多様していることもあって、日本人の口に合いやすいと思っています。


2.おすすめ四大エジプト料理

■コシャリ:レンズ豆とマカロニを混ぜた飯に、トマトソースをかけていただくもの。エジプトの国民食とかエジプトを代表するB級グルメと言われています。エジプトで会った日本人からコシャリが苦手と言う言葉は聞いたことがないので、日本人の口にも合うと思います。

■ターメイヤ:そら豆のコロッケと訳されますが、ニンニクが効いていて、感覚的にからあげに近いかもしれません。日本で食べられる店に未だ出会ったことはなく、「ファラフェル」というひよこ豆のコロッケは、ケバブ屋などでも食べられます。

■モロヘイヤ:野菜の王様モロヘイヤのスープ。ネバネバしているので、苦手な人は苦手のようです。また、エジプトのモロヘイヤ(加工前の野菜の状態の時)は日本のそれとは違って、大変野性味が強いです。

■マハシ:トマト味の飯をピーマンやナスに詰めたり、ブドウの葉で包んだもの。ブドウの葉がとてもレアでめっちゃ食べたくてやっと食べれたんですが、ピーマンやナスの方が良かったな、と思いました。


3.東京で食べられるエジプト飯やアラブ飯のお店

※何年も行っていないお店もありますので、インターネット等でお調べのうえお出かけください

■中野:中野のアーケード街にシリア料理の店があります。ここ以外にも、中野駅の南西にアラブ料理が食べられる店があります。

代々木上原:東京ジャーミーというトルコ式モスクの近くに、日本人が経営するエジプト料理屋があります。モスクで礼拝を終えたムスリムたちでにぎわっていました。

■吉祥寺:吉祥寺駅の南にエジプト人が経営するケバブ屋があります。

錦糸町:日本人が経営するコシャリ屋があるそうです。

■神楽坂:神楽坂駅の早稲田側出口の近くに、エジプト料理屋があります。コシャリやケバブ、ファラフェルなどがあります。また、ハイビスカスティーアラビア語ではカルカデ)も扱っていて、暑い夏にぴったりの甘酸っぱい飲み物です。


4.画像で見るエジプト料理

吉祥寺でいただいたファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)のサンドイッチ

 

吉祥寺でいただいたケバブ飯(これは日本独特のもので、エジプトにもトルコにもケバブと米がいっしょに盛られた料理はありません)とファラフェル

 

幡ヶ谷で食べたコシャリ。レンズ豆ではなくソースもサルサソースで、コシャリ風と言った印象。

 

タイ・バンコックのアラブ人街で食べたコシャリとモロヘイヤ。エジプト米はジャポニカ米でコシャリもジャポニカ米ですが、ここのコシャリはタイ米でした。

 

コシャリのチキンケバブ乗せ。神楽坂でいただきました。


いかがでしたでしょうか。
今回はエジプト料理について、お話ししました。
旅の気分を少しでも味わっていただけたら、そして、このブログをお読みの方でエジプト料理屋やアラブ料理屋をご存知でしたら、コメント欄、またはこちらからお知らせいただけると、うれしく思います。

中央線沿いのさんぽに学ぶ、「知ること・気づくこと」は「共感」であり強力な癒しかも、というお話

こんにちは。
女子力高めのイケオジ癒し人、恵守真史(えもりまさひと/まぁ)です。
このブログでは、心理、旅、スローライフなどを通して、こころがちょっぴりほっこりする、そんなお話をお伝えしていきます。

<ご注意>
今回は若干スピリチュアル、精神世界的な内容・感覚を含む内容になっています。ご興味のない方はお手数ですが、戻るボタンでお戻りいただけますと幸いです。
また、感覚が鋭い方はネガティブな影響を受けるかもしれません。ご自身の状態にご注意いただき、不安な方は改めてお越しいただけますと幸いです。

 

さんぽ中に感じた違和感

初夏を思わせるような青空が広がっていた四月のある日、ぼくは中央線の線路沿いをのんびりさんぽしていました。
駅から離れるにつれ、通りを歩く人はひとりまたひとりと家路へと向かい、目の前を歩く人は少なくなっていきます。それに比例して、道幅も狭くなっていきました。
狭くなった通りを歩く人たちが目の前に誰もいなくなったころ、なにか気持ち悪いというか、イヤな感じがしてきました。そわそわするというか、しっかり味わっていないのでうまく言語化できませんが、とてもイヤな感じです。
理由もわからず、イヤな感じもおさまらず、早くこの感覚から逃れたくてぼくはとりあえず線路沿いの道から住宅街の小道に入り、歩を進めました。
すると、さっきほどイヤな感じがない。良かった、このままのんびり歩いていくか、と思った時です。

 

違和感の正体?

住宅街の小道の少し先の方に、赤い小さなお社が見えました。小さなお社は、都会では珍しくありません。そしてそのお社は、遠目から見て荒れているように見えました。
鳥居や柱が傾き、倒れ掛かっています。それ以上倒れてこないように、ロープでくくっているだけで、なにもされていません。修復されることもなく、思い切って撤去(この日本語が適切かわかりません)するわけでもなく、ただただ、ほっておかれているような感じです。
そして、線路沿いを歩いていた時のイヤな感じの正体が、わかった気がしました。だぶん、このお社の気配を感じていたようです。
そしてこころの中で、「えらいもんに会ってまったな・・・」と心苦しく思いました。
どうしていいのかわからないから、あまりお社を見ることはせず、そして意識もあまり向けないように通り過ぎました。
通り過ぎるとイヤな感じが抜け、ふっと軽くなるのを感じました。

 

知ること、気づくことの癒し

1978年の日本レコード大賞ピンク・レディーが受賞し、彼女たちは涙を流しました。でもその涙は、レコード大賞を受賞したからではなく、司会の高橋圭三さんの言葉にあったそうです。

この2人はご存じのように、デビュー以来、圧倒的な人気を誇り続けてまいりました。しかしその影には眠る時間も削って、そして病も押して歌い続けたということを私たちは知っております。しかも、いつでも笑みをたたえ、そして全力投球で歌いました。

自分たちのことをずっと見てくれている人いる、わかってくれている人がいる。そう思うとピンク・レディーのおふたりは、とても報われた気がしたそうです。

車が行き交う幹線道路を抜けケヤキ並木の通りに入ると、ケヤキの樹々が初夏を思わせる空に向かってどこまでも伸びていました。ちらちらと差し込む木洩れ日、樹々のすき間からこちらを覗き込む青い空、春の訪れを祝福する鳥たちのさえずり。生命の息吹を感じながらもおだやかなこの情景に、ぼくは思わず足を止めました。

よく心理学や精神世界では、「気づくだけでいい」と言います。気づけば問題の90%は解決しているから、と。
ようやくこの言葉の意味がわかった気がしました。
気づけば、それで良かったんです。知ることが大事だったんです。
このお社を通り過ぎて気持ちが軽くなった時、ふと、「そっか、このお社は知ってほしかったんや。気づいてほしかったんや。なにもされず荒れてまっとるこの場所を。こんな場所が残されとることを。ただ、それだけやったんや」と思いました。
そうです、ぼくたちは知ってもらうだけで、気づいてもらうだけで、ただそれだけで救われることがあります。
なにかしてほしいわけでもなく、ましてやアドバイスなんかほしいわけでもなく、ただ知ってもらえるだけで、気づいてもらえるだけで、ただそれだけで共感されたと感じ、孤独という暗闇からから抜け出し、前に進む力を得られたりするものです。
知るだけで、気づくだけでいいんです。

 

知るだけでは納得できないのはなぜ?

ぼくは荒れたお社を見た時、心苦しく思いました。
ひとつは荒れたままなにもされず、無残さのようなものを感じたことに。
そしてもうひとつは、お社を救わなければいけないのではないか、この状態を良い方に回復させなければならないんじゃないか、と頼まれてもいないのに、勝手に責任を負ってしまったことに、です。
ですが、お社はぼくに救うこと、例えば写真を撮ってSNSで拡散して、市民を立ち上がらせ再建するように仕向けることなんて、期待してなかったと思うんです。
でなければ、お社の存在を知っただけで軽くなることはなかったと思います。

必要以上に責任を負い、助けなければと思ってしまう方たちはきっと、子どものころから親を守り、助けてきた方が多いのではないかと思います。そして、困っている人を見るとなんとかしなければいけないと、無意識に思ってしまうのではないでしょうか。
どれだけ親を助け、味方しても、悲しみを抱えたままの姿を見てきたから、そう思ってしまったのでしょう。そして、救うことができない自分に無力さを感じ、罪悪感を覚えてきたのではないかと思います。
人は本来、自分で問題を解決できる存在です。だから、相手の責任を負うことも、相手の問題を解決しようとしなくても、救おうとしなくてもいいんです。
だけど、助けが必要な時はあります。寄り添ってほしい時があります。だから、ただただ相手を知り、気づくだけでいいんです。
ぼくたちはこれまでの人生の中で、共感は強力な癒しであることを知っています。
相手は自分で自分の問題を解決できる尊い偉大な存在であると知り、自分とは切り離す。そして、相手のこころ、気持ち、現状などを知る、気づく、寄り添う。それが共感であり、癒しを起こします。

そしてそれは、自分自身にも言えます。自分のこころ、気持ちを知る、気づく。今まで知らなかった、気がつかなかった自分のこころ・気持ちに共感することで、癒しは起きます。
今、あなたはどんな気持ちですか? どんなことがしたいですか? 今日はそっと、自分のこころにふれてみてはいかがでしょう。

 

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ブログ名変更のお知らせ

ブログ名を「たびごころ」に変更しました。
変更前:旅心地

また、ニックネームも「恵守真史(えもりまさひと)」に変更しました。
変更前:たびごころ

これからも、よろしくお願いいたします。